カズ・オオモリ

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カズ・オオモリ氏
Tune Grafik
グラフィック・アーティスト
http://tunegrafik.com

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絵が上手かった叔父の影響を受け、昔から絵が描くのが大好きだったというカズ・オオモリ氏。
小さい頃からキャラクターやロゴなどあらゆるものを模写していたといいます。
美術専門の大学を卒業後、ミネアポリスに渡米してイラストレーターとして仕事を本格的に始動します。
そこで出会った様々なデザインに心を打たれイラストとグラフィックを融合したご自身のスタイルを確立していきます。
帰国後は「Tune Grafik(チューングラフィック)」を立ち上げ、アートディレクション・イラストレーション・アニメーションと幅広い分野で活動されています。
どんな時代であっても手書きが基本というカズ・オオモリ氏のステーショナリーは、数少ない色数と大胆なグラフィックで構成され、
ウィットに富んだイラストを手触り感のある紙や加工で楽しませてくれます。
世界で活躍するグラフィックアーティスト、カズ・オオモリ氏へのインタビューです。



チューングラフィックのコンセプトを教えてください。また大切にしていることもお願いします。
紙媒体に落とし込むグラフィック以外に、モーショングラフィックなどの映像の分野も手がけています。
仕事ではいろんな専門の方と一緒にさせてもらうことが多いです。
チューングラフィックという名前は「チューニング」という言葉から。
チューニングとは、音合わせのこと。いろんな人が奏でる音をチューニングしていくことでひとつのハーモニー(調和)が生まれます。
クライアントや周りの人の意見をよく聴き、そこに自分のアイデアを合わせながら最高のものを作り上げていく。
そのパートとして存在することがチューングラフィックのコンセプトです。

仕事において大切にしていることは、常に進化させたいということでしょうか。
前よりもいいものを。少しでも前以上のものをという気持ちで仕事に取り組んでいますね。

仕事柄、名刺や封筒などステーショナリーとは密接だと思いますが、それらとブランディングについての考え方を教えてください。
「記憶に残る」ことが紙の役割だと思っています。
チューングラフィックで作るステーショナリーは、手触り感を常に考えています。
もらった時の手の感触、おもしろさとか、どこか忘れられない感覚やひっかかりは、普通の出力では得ることができません。
例えばデジタルで出力したものはグリーティングカードには使いたくない。
郵便ポストにはチラシやダイレクトメールなどいろんなものが入っていますが、その中に埋もれてしまわないようにしなくてはなりません。
ステーショナリーなどのコミュニケーションツールにおけるブランドは、記憶に残ることにつきると思います。

今回紹介してもらったステーショナリーについてご説明ください。
グリーティングカードや名刺など、孔版印刷やバーコ印刷などを使用し、アナログ感のあるステーショナリーを多く作成しています。
手にした時の素材感や、封をあける瞬間など、紙でないとその感覚は味わえないし、印刷されていないとダメなんです。
常にそういったことを意識しています。
変わったところでは、電話番号とスタジオだけが印刷されたCall Card。
ザラザラしたボール紙にわざと2色をズラして印刷をしています。栞としても使えるぐらいの長さです。
あとフリスクのパッケージにオリジナルシールを貼ったノベルティ。これもなかなか好評ですよ。

これらはすべて自社のものですが、同じロゴマークは使っていません。
それでも受け取った人がこれはチューングラフィックとわかってもらえることが大切だと思います。

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「紙」という言葉を聞いて、あなたが思い出すものは何ですか。
僕の人生はトレーシングペーパーなしでは語れません。
実家が宝石商をしていた関係で、商品撮影時に使用するトレーシングペーパーがたくさんありました。
小さい頃はその紙を使っていろいろなものをトレースしました。
ただ、いくら上手くトレースしても、どうしてもオリジナルに負けてしまう。そこで何故だろうと考えるうちに、
線の強弱やラインの描き方など、自分がかっこいいと感じたラインを表現するのはとても難しいことに気づいたんです。
ただ模写するだけではかっこよくならない。想像をもって描かないとダメ。
その部分を何度も経験することで絵もどんどん上手くなったのだと思います。
現在でもトレーシングペーパーは仕事で欠かせないツールです。

週末は何をしていますか。またリラックスできる時間 / 場所は?
ライフスタイルの話となると、映画がとても大きな要素を占めています。
観るのはもちろんですが、映画ポスターなどアートワークも大好きです。
スターウォーズなんか最高でしたね。
そのあたりが今の自分のベースになっていると思います。

最近は健康や周りの環境に気を使ってます。体を動かしたり、部屋の風通しをよくしたり。
時に何かを作ったり、バランス良く頭のチャンネルをがちゃがちゃ変えることが秘訣でしょうか。

一番リラックスできる場所は、お風呂です。
ぬるま湯につかって、ふわふわとリラックスしている状態にふとアイデアを思いつくことがあります。
その時のアイデアの方が、机の上で練りに練って考えたものよりいいことが多いですね。
もちろんそれらのアイデアは、突然降ってくるわけではなくて、アイデアが発芽するための種まきはたくさんやっているわけですが。

何かコレクションをしているものはありますか。
パッケージです。紙媒体のパッケージ。包装紙もそうです。
NIKEのシューズボックスは特に好きですね。クラフトの紙に黒でフレキソ印刷された感じがたまらなくかっこいい。
それから外国のパッケージや包装紙などチープにフレキソ印刷されたものとかも、捨てられず残しています。
他にはリーバイスの商品タグなんかもあります。

紙もの以外では…フィギュア、PETSとかでしょうか。アメリカンなものが好きな世代ですからね。

今、机の上には何がありますか。
marumanのリーガルパッドのA5サイズ。
あとは色鉛筆。使うのは青と黄色と赤の3色です。この3色で緑色も作ります。
それから、Macデスクトップ。仕事場はきっちり整理しています。
昔は、むしろ散らかっていないと緊張してなにも手につかなかったのですが…

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仕事で使用する一番必要な道具は何ですか。愛用している筆記具も教えてください。
まず、トレーシングペーパー(笑)。
MITSUBISHIのユニホルダー赤と黒。それ専用のシャープナー。
鉛筆は赤で下書きをし、次に黒とトレーシングペーパーで清書していきます。
色鉛筆は青と黄色と赤の3色のみ。これ以外の色は使いません。
掛け合わせることで何色もの緑を表現できるのですよ。

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チューングラフィックの5年後はどんなものですか。
デジタルサイネージがもっと普及すると思われるので、グラフィックデザインの概念も変わってきます。
動きをともなったグラフィックとかが多くなっているかもしれません。
ただ今よりもっとアナログな価値を大切にしていると思いますね。
冗談ですけど先日Macなしで仕事できないかなと思ったほどです。

インタビューありがとうございました。最後にご自身を3つのワードで表すと…?
難しい質問ですね〜。自分は何で成り立っているかというと…
「映像」「音」「想像」この3つをシェーカーに入れてがしゃがしゃ混ぜた感じでしょうか。


カズ・オオモリ氏のCarta Biancaページはこちら



プロフィール
カズ・オオモリ(Kaz Oomori) / グラフィック・アーティスト
1967年大阪生まれ。USA・ミネアポリスにて広告会社の社内イラストレーターとして就業。
現在、グラフィック・ユニット「Tune Grafik」にてアート・ディレクション、イラストレーションを活かした仕事を手がけている。

主なクライアント・仕事
「ヴァージン・シネマズ」(Virgin Cinemas Japan)キャンペーン、ファザード、店内などのアートワーク全般。
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(Universal Studios Japan)リーフレット / カバー・アート、シーズン・イベントのアートワーク。
「スウォッチ」(Swatch Group Japan):007シリーズ/雑誌広告のアートワーク。
「集英社」:映画雑誌・ロードショー / コラム等のアートワーク。
「アシェット婦人画報社」:映画雑誌・プレミア日本版/コラムのアートワーク(レギュラー)。
「講談社」:中田英寿・写真集 / アモーレ・パーチェのアートワーク。
「ラフォーレ原宿」:クリスマス・キャンペーンのアートワーク。
など。

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